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7月 朝詣りの会お知らせ
2024年7月29日石山寺は源氏物語ゆかりの寺として知られています。紫式部はこの寺に参籠していた時に「須磨」「明石」の巻を構想したといわれています。
平安時代、貴族の女性や女官が多くお参りした寺の代表がこの石山寺と大和の長谷寺です。
彼女たちは深い悩み、苦しみを抱えていました。後世ほど女性の地位が低かったわけではありません。
親の家に娘が住みました。おそらくは古墳時代からあった妻問婚が平安中期まで続いていて、子供は母親の家で育てられました。
子供の出世を願うのは、母親として当然のことであり、かなえば母親の栄誉でもありました。
しかし、それは夫、即ち子の父親の実力に依っていました。良き殿御が通ってくれるかどうかに懸かっていたのです。
女性の知性、教養が男性に劣らないことは万葉集以来の古典に明らかです。
さらにおのれの心の闇を見据える深みある精神も持っていました。
それは蜻蛉日記や和泉式部の和歌からも読み取ることが出来ます。
教養も思考力もプライドもあった彼女たちが、浮気性な男達の気まぐれに人生を翻弄されて、どれほどかその心を傷つけられたことか。
常に現世にあって人の悩み苦しみを救い続ける菩薩として信仰されたのが観世音菩薩です。
観音経には、ありとあらゆるものに身を変えて悲惱の衆生を救い続けることを釈迦世尊から委嘱された観世音菩薩が説かれています。
後生ではなく現実の苦しみを救う菩薩なのです。
石山寺の御本尊は、聖徳太子の念持仏であった六寸の像を中に納めた如意輪観音です。
都のすぐ近くにあって風光明媚なこの寺に、多くの女性が参詣したのは当然だったと思います。
境内からは、琵琶湖とそこから流れ出る瀬田川、有名な瀬田の唐橋も眺められます。
国宝の本堂や多宝塔は国の天然記念物である珪灰石という巨大な岩盤の上に建っています。
本年秋から、西国三十三番観音霊場の巡礼を再開します。石山寺も今年の巡礼地になります。
令和6年7月15日
宇都宮市東戸祭1-1 祥雲寺東堂 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。