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平成30年9月 観音朝詣りのお知らせ
2018年9月17日今年は災害の多い年です。
7月の西日本豪雨、9月に台風21号の猛威、すぐ続いて北海道の地震です。
9月6日のテレビには、空から撮った震源地の映像が映されました。
山々の斜面が至る所で崩れ落ちているのを見て、アナウンサーが「これ全部けさ崩れたんですか」と問いかけていました。
私もにわかには信じられませんでした。
日本列島は、自然の恵みに満ちています。
山は森に覆われ動物も植物も多種多様、海は世界四大漁場といわれて魚をはじめ海産物が豊か、野も長年の丹精によって造られた耕作地が広がります。
世界でもまれな豊かな島々です。
日本人はこの恵みを受けて命を繋いできました。
しかし時至れば、山は火を噴き、地は震い、海からは大波が押し寄せてくる。
本年のように天災が続くと、人間は自然には逆らえないことを実感します。
カミ(神様)とは、自然の奥に人間を超えた力があると日本人が感じ、それを神聖なものとして表した言葉です。
カミ(神様)に対しては、恐れ敬い畏(かしこ)み謹んで、幸せをもたらしたまえと祈ってきました。
日本に生まれた神道は、まさしく自然崇拝の宗教です。
このような宗教を持つことは、人間の心のはたらきとして自然なことではないでしょうか。
人間は自然の中から生まれたものなのですから。
自然が美しく、四季折々の変化に富み、恵みも災いももたらす、そんな風土にいのちを営んできた日本人にふさわしい宗教のあり方だと思います。
仏教が日本に伝わり、神道と争うことなく、一体となった歴史を刻んできたのは、基本となる生命観、自然観がそれほど離れたものでなかったからです。
仏教は、我々を取りまく自然を、仏様の被造物とするような考えを持ちません。
私達は自然の一部であり、一体のものです。
お釈迦様は、私達が目にする世界だけでなく、人間には捉えられない世界も含めてそれを貫く真理を悟られて、その悟りの境地から人間の生き方を説かれました。
自然と調和して生きることは仏教の教えでもあるのです。
平成30年9月15日
祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。