2020年3月17日

春を迎えた祥雲寺

梅園の咲き誇る梅と羅漢さん
コロナウィルスの蔓延で、重苦しい日々が続いています。9年前の大震災の後にも匹敵する感があります。
放射能もコロナウィルスも見えないものです。
しっかりした情報がない状態では不安がつのります。
伝染病の場合には自分が罹(かか)ることによって、まわりの人に移す加害者の立場になりかねないという不安も起こります。
小学生だった昭和30年代、学校でも、大人たちからも、伝染病の恐ろしさをくり返し教えられました。
当時の人たちは、結核や赤痢の恐ろしさを身近に経験していました。
しかし、戦後生まれの私たちは、身に迫って伝染病の恐怖を感じたことはなかったように思えます。
治療薬が次々と開発されました。
医学の進歩は著しく、信頼も厚かった。
衛生環境も格段によくなった。
もう、伝染病の大流行などあり得ないとなんとなく考えていました。
今回はウィルスの蔓延を防ぎきれないように思えるため、信頼が崩れ、国民全体が浮き足立ってしまいました。
いま大切なことは、専門家の指針をきちんと守って一人一人が対処するとともに、必要以上に恐れないことです。
もし蔓延してしまったら、このウィルスと付き合っていくしかない。
今までのインフルエンザと同じように。
新型コロナウィルスに対しても、きっと近いうちに治療薬ができるでしょう。
現在は従来のインフルエンザよりは恐ろしいけれど、国民全体の適切な対処の積み重ねで、2020年にこんな大騒ぎがあったと、記録されるだけのことになるでしょう。
恐れるべきでないと言いましたが、人間を恐怖に陥れることはこれからも繰り返し起こってくると思います。
そしていつの日か、本当に対処しきれないような危機が訪れるかもしれません。
実際、震災では自然に対する人間の無力を感じました。
原発事故では、人間の生み出した技術を自らがコントロールできませんでした。
抗生物質の多用によってどんな薬も効かない細菌が生まれるかもしれません。
しかし、そんな中でも人間は生き続けるしかないのです。
無常にして弱いものであることを自覚して。
勇気を持って。
令和2年3月15日
宇都宮市東戸祭1-1 祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。