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平成28年7月 朝詣りのお知らせ
2016年7月13日7月7日べんてんまつり、転読しての参列者諸災消除諸縁吉祥の祈願
バングラディシュで痛ましい事件が起きました。
テロの犠牲になったのは、日本人の中の宝石というべき人たちです。
この世界の一隅に火を点(とも)し、人びとの幸せのために分け隔てすることなく仕事をしていた人達です。
ご家族の悲しみはいかばかりでしょう。
縁もゆかりもない我々でさえ悲しみに胸が熱くなります。
犯人たちに憎しみを感じます。
しかし、あの若者たちの心情は、おそらく、身を捨てて大義を成し遂げようとしたのです。
見方を変えれば殉教者であり愛国者です。
なぜこんなことが起こってくるのか。
背景には、欧米の先進国が、石油の利権をわが物にしようとして、中東のイスラム教の世界に介入したことがあります。
湾岸戦争、イラク戦争が起こり、現在も止め処ない内戦が続いています。
欧米だけのせいにできない色々な要因はありますが、過激派はこの状態をもたらした責任は欧米にあるとしています。
そして、欧米と戦うための根拠をイスラムの教えの中に求めています。
先日、イスラム教を研究する先生の講義を受けました。
イスラム国やアルカイダのような暴力を是とする考えは、本来のイスラム教にはありえないそうです。
しかし、現実にイスラム国やアルカイダはイスラムの大義のためと称しテロをくり返し、止むことがありません。
それらの組織が壊滅しても、また新たな組織が生まれ同じことがくり返されます。
私は、全知全能の神を立てる一神教の中に、対立を生み出す根本的な問題点があるのではないかと思っています。
自分たちの信じる神にのみ正義があり、信じないもの、別の神を信じる者は正しくないのです。
ブッシュ大統領はアフガニスタン派兵決定にあたり
「これは十字軍だ。邪悪な者との戦争だ。」
と演説しました。
これと、テロリストたちが
「神は偉大なり。聖戦(ジハード)だ」
と叫ぶこととあまりにも似ています。
異なった文化、歴史を持った人々の心が通じ合うには、
「絶対に」
という言葉はいりません。
平成28年7月15日 祥雲寺住職 安藤明之
18日の朝詣りは午前6時から行います。
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28年6月 朝詣りのお知らせ
2016年6月11日今年も梅雨入り。紫陽花の季節。
江戸時代、正大の北方六里に吉岡という宿場がありました。
その宿場は、藩御用の物資運搬を責任を持って勤める伝馬役を課せられて苦しんでいました。
馬や人夫を無償で手配するのですから重い年貢と同じです。
負担できずに夜逃げするものがあとを絶ちませんでした。
「このままでは村が滅びてしまう。」
穀田屋十三郎と菅原屋篤平治という二人の若者は宿場の将来を憂えました。
そして思いついたのが、宿場の資産ある人から財を募って千両(五千貫文・二億円くらいか)の金を作って財政難の仙台藩に貸し、利息を取って伝馬の費用に充てるという奇想天外のアイデアでした。
二人はなけなしの財産から五百貫文という大金を出しました。
宿場の将来のためにすることであり、出資者には何の見返りもないことですので率先して誠意を示さなければなりません。
それでもというか、当然にというか協力者は少なく、目標にはほど遠い状態でした。
ところが、十三郎の実家が家産のすべてを出して協力することにより、ついに千両相当の金を集め、その後も困難の連続ではありましたが当初のもくろみを達成できたのです。
実は、十三郎の父親は、はるか昔から十三郎と同じことを考え、守銭奴とののしられながらも金をためていたのです。
この話のすごいところは、出資者9人が見返りを求めなかったことです。
金銭だけでなく、栄誉も求めない。
寄合では下座に座り、道は端を歩く。
それは子々孫々まで伝えられました。
このことが世に知られたのは、彼らの菩提寺の住職が記録にまとめたものが残されたからです。
昔の日本人の偉さがよくわかります。
と同時に、私は自分をかえりみて恥じ入るばかりです。
この話は、磯田道史著「無私の日本人」という本に収められ、さらに「殿、利息でござる」という映画になって現在上映されています。
どうぞご覧になってください。
平成28年6月11日 祥雲寺住職 安藤明之
18日の朝詣りは午前6時から行います。
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平成28年4月 朝詣りお知らせ
2016年4月16日桜が散るころには若葉が芽吹いて、新緑の季節が待ち遠しくなります。
人間が負けることはないといわれていた囲碁で、コンピューターが世界最強の天才棋士に勝ちました。
人間の知能の発達と似た学習法で、勝負に勝つための判断力を高めたからだそうです。
コンピューターは正確に計算しつくす機会から、判断力を備えた人工知能に変わってきたのです。
30年後には、知能として人間を上回るという予想です。
これはどんなことを意味するのでしょうか。
先ず考えられるのは、人間のために働いてくれるロボットです。
辛い労働を代行するのはもちろんのこと、レシピに基づいておいしい料理を作り、マニュアルに則った至れり尽くせりの介護もします。
人間が快適な生活をするために必要なことはすべてやってくれそうです。
人型のロボットだけではありません。
技術の開発をしたり、科学上の発見や新しい理論も生み出します。
文学や芸術分野でも、人間の感性や好みについての分析が蓄積されて、感動を呼ぶすぐれた作品が生まれます。
人工知能のはたらきで、人間は何もしないでも欲しいものは手に入り、願うことは達成されるようになるのです。
スイスの学者は、未来の人間は、自分がやりたいことを好きなだけやる人生を送るようになると予想しました。
これが幸せなことでないことはどなたもお分かりでしょう。
社会に関わらずに一人だけで幸せを感じることはありません。
生きる意味がなくなります。
人間とはそういう生き物です。
幸せは、人それぞれが価値あると思うものを実感することから生まれます。
それは成長し滅びる肉体の中にあります。
満開の桜に心のときめきを覚え、散りゆく花におのれの人生を重ねる。
無常なる肉体だからこそひとつがかけがえのないものとなり、価値あるものとなって輝くのです。
取り換えのきくコンピューターには、知能はあっても価値と感じるものはありません。
そんなものによって生きる意味がなくなる。
そんな未来があってはなりません。
平成28年4月15日 祥雲寺住職 安藤明之
18日の朝詣りは午前6時から行います。
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平成28年3月 観音朝詣りのお知らせ
2016年3月16日インド独立の記念碑、インド大門にて
一月のインド旅行で、中部インドのジャーンシーという都市を通りました。
インド独立運動の聖地ともいえる町です。
ムガール帝国のインドはマハーラージャといわれる領主たちが自分の利権だけを求めて争い、バラバラになっていました。
イギリスはそこにつけ込んで侵略し、莫大な利益をあげるようになっていました。
1857年、イギリスの雇い兵たちが宗教的なことが原因で反抗したことがもとになって、全インドでイギリスに対する大反乱が起こりました。
イギリスによる収奪はインドに広く行き渡り、我慢のできない発火点に達していたのです。
この大反乱では、独立の英雄といわれる人たちが多く出ました。
その中のひとりが、ジャーンシー王国の王女、ラクシュミー・バーイーです。
イギリスに奪われた王国を取り戻すべく戦いの先頭に立ち、勇敢さとすぐれた知略で優勢なイギリス軍をたびたび破りました。
遂に戦場で斃れましたが、敗北必至の苦境にあっても闘志を失わず、果敢に戦ったその姿は、後のインドの独立運動を勇気づけました。
ネルー首相は著書『インドの発見』で
「名声は群を抜き、今もって人々の敬愛を集めている人物がある。
その名はラクシュミ―バーイー。
齢二十のうらわかい女性の身で戦場に仆(たお)れた。」
と称えています。
ジャーンシーの駅前には、武装した騎馬姿の彼女の銅像が建っています。
そして、その近くには、塩を求めて海に向かうガンジー一行の銅像が建てられています。
イギリスの塩税に抗議して1930年に行った「塩の行進」と呼ばれる無抵抗不服従運動の姿を写したものです。
武力によっては適わなかったインドの独立は、ガンジーの平和主義によって成し遂げられました。
その根底に、ラクシュミ―のような勇者たちの活躍によって生まれたインド人のほこりがあることも忘れてはならないでしょう。
平成28年3月15日 祥雲寺住職 安藤明之
18日の朝詣りは午前6時から行います。