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令和4年4月 観音朝詣り
2022年4月16日ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンラインの演説をしました。
ロシアのウクライナへの侵攻を受けての支援要請ですが、大多数の国会議員から賞賛の声が上がり、視聴した国民にも感銘を与えました。
戦争を始めたロシアのプーチン大統領に対する非難の声は世界中でたいへんな高まりです。
ウクライナが善、ロシアが悪という色分けがはっきりしています。
しかしそのような見方、考え方でいいのでしょうか。
戦争開始直前のプーチン演説の全文を読みました。
ロシアがNATO諸国の攻勢に追い詰められていることと、ウクライナがロシアにとっていかに大切かを説き、今行動しなければならないと訴えています。
これはかつてABCD包囲陣に直面し、国の生命線とした満蒙を防衛するため戦線を拡大し、太平洋戦争に至った日本に似ているように思えます。
ロシアでも、戦争に反対する少なくない人がいますが、国民の大多数は侵攻を支持しています。
それが国の正義であると受け止められたからです。かつての日本もそうでした。
ウクライナ側は「団結しなければ殲滅させられる」という言葉に端的に表わされる必死の防衛戦争です。
国民にとって正義は我にあります。
「武器を捨てて交渉の道を取れば多くの国民の命が救われる」と言った日本人がいましたが、それは部外者のふざけた言葉にしかならないでしょう。
戦争はそれぞれにとっての正義と正義のぶつかり合いです。
そして正義のためなら非人道的な行動も許されてしまいます。
ロシア軍が使用したと非難されているナパーム弾もクラスター爆弾も、それを開発し、日本やベトナムやアフガニスタンで雨降らしたのは米国であることも忘れてはなりません。
現在は市民虐殺など、ロシアの残虐行為が非難されていますが、もしも形勢逆転したならばウクライナ在住の親露派に同じことが行われる可能性も大きいと思います。
戦争が生むものは憎しみなのですから。それが怖い。
正義を越える大いなる価値観が必要です。最低限、日本にいるロシア人を差別するようなことがあってはなりません。
令和4年4月15日
宇都宮市東戸祭1-1 祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。