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平成30年8月 観音朝詣りのお知らせ
2018年8月12日いただきます ごちそうさま(でした)
昭和になってから広く使われるようになったのだそうですが、ともかく素晴らしい言葉です。
曹洞宗の修行道場では、食事の前に五観の偈を唱えます。
意味を要約しますと
1、この食べ物がここに来るまでの、天地の恵み、人々の労苦に思いをいたします。〈天地人の恵みへの感謝〉
2、私がこの食べ物を戴くだけの行いをしているかを省みます。(自らの行いへの内省)
3、正しい心を保つ修行として、食べ物へのむさぼりやすき嫌いをいたしません。(食事も修行とする表明)
4、この食べ物は、私の命を保つための貴重な薬であるとの思いをいたします。(食物の貴さの自覚)
5、仏さまの説かれた道を成し遂げるために、この食べ物をいただきます(最高の高みに向かう志の表明)
食事を終えて最後に次の言葉を唱えます。
願わくはこの功徳をもって、あまねく一切に及ぼし、
我らと衆生とみな共に仏道を成(じょう)ぜんことを
仏道修行の志を持って食事するならば、それは功徳を積む行となります。
自分の積んだ功徳をおのれのものとしないで、世の中すべてのものにめぐらし向けて、すべての幸せを祈る。
この言葉は普回向文といって、仏教徒共通の祈りの言葉です。
「いただきます」、「ごちそうさま(でした)」の心をひもといて行くと、この五観の偈の言葉と通じ合うと思います。
「いただきます」は、人間を超えた大いなるものとこの世に共に生きる人たちへの感謝を、敬意を持って端的に表しています。
「ごちそうさま」は、食事を調えるために馳せ、走りまわった人へのねぎらいと感謝の言葉です。
普段、何気なく使っている言葉の意味を考えてみることも大切です。
それによって言葉に魂がこもりますから。
また逆に、深い意味を持つことを簡単な言葉にすることの素晴らしさも感じることができます。
平成30年8月15日
祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。