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平成30年11月 観音朝詣りのお知らせ
2018年11月14日10月の末はハロウィンが話題になりました。
この行事はもともと古代ケルト人の収穫祭だそうです。
ケルト人は10月31日を秋の終わりとし、冬の始まりから新しい年としました。
この日には死者の霊が家族を訪ねてくると信じられました。
古い記録では、祭司たちがかがり火を焚いて作物と犠牲を献げ火の回りで踊ります。
各家庭はこの火を持ち帰って家を温め、悪霊が入らないようにします。
子供たちは、仮面をかぶって悪魔や魔女に変装し、家々からお菓子をねだります。
お菓子をくれないと家にはいたずらをしてもよいということになっていたそうです。
私は、日本の宗教行事と共通するものが多いことに驚きました。
お盆は先祖を迎える行事です。
迎え火を焚き盆棚に火を灯します。
夜には村中総出で盆踊りとをしました。
秋田のなまはげは、仮面をつけ、神(鬼)となって家々を訪ねる行事です。
十五夜に子供たちがはやしながら家々からお供え物をねだるボージボという行事もありました。
お供えをくれない家の月見団子は盗んでもよいとされました。
ケルト人は、青銅器時代に中央アジアの草原からヨーロッパにやってきた民族だそうです。
日本も含めてアジア各地の民族や文化とつながりを持っていたのでしょうか。
元々のハロウィンも含めて、いろいろな祭りに共通するのは、先祖への感謝祭であることです。
先祖に感謝し、さらにはその霊に子孫たちが護ってもらうことを願う祭りです。
全知全能の神ではなく、血のつながりを感じることの出来るご先祖に感謝を献げるのは、人間の心のはたらきとして自然な感じがします。
一神教といわれる宗教が生まれる以前の、人間の一番素直な宗教感情だったのではないでしょうか。
仏教は、この世界の真理を悟られたお釈迦様が、悟りの境地から人間の生きる道を説かれた宗教です。
先祖崇拝は、ともすれば狭い地域や集団、一民族に限定された排他的な感情を生み出しかねません。
しかし、悟りの光に照らされた時、すべての人間にとっての幸せの基(もとい)である普遍的な感謝の精神へと高められている、そのようにお盆行事をはじめとする日本の先祖供養について私は思っています。
平成30年11月15日
祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時半から行います。