謹んで大衆に申す
生死事大 無常迅速
各々宜しく星醒すべし
謹んで放逸なることなかれ
僧堂で鳴らす板に書かれる警句
私の坐禅の師、福井御誕生寺の板橋興宗禅師が7月5日に遷化されました。
修行を終えても僧侶としてのあり方に迷っていた私に道を示して下さり、お膝元で2年ほど再度修行の機会をいただきました。
禅師様には沢山のことを学びました。
寂寥の思いは募れども、別れに際して思うのは上記の「無常迅速」でした。
お釈迦様は2600年の昔、80年の人生を歩まれ、沢山の弟子に看取られる最後であったと言います。
弟子達が惑うことの無いよう、これまで説いた教えを要約して語られ、そして最後は自らの死に様を示す無言の説法であったそうです。
人は誰しもが死ぬ、死とはこういうものだ、だからこそ生きている今怠ること無く務め励み精進して修行を成しなさい、と。
以来仏教徒の姿勢とはかくの如くで、上記の警句はそれを受けて中国で書かれ、今日も修行道場で心すべき警句として用いられています。
禅師様は本当に様々な手本をお示し下さいました。
その手本を、今度は自分がこの身で実践し、能うならば示していくべく務めていく番が巡ってきました。
教えは人生に生かされてこそのもので、そして歴代の仏祖は実践の中で教えを伝えてきたのですから。
禅師様の教えを実践する中に、仏と成られた禅師様の命がきっと息づいていることを私は信じています。
祥雲寺副住職 安藤淳之