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三月 観音朝詣りのお知らせ
2026年3月15日室町時代は民衆の活動が活き活きした時代でした。
そこから現在につながる多くの文化が生まれました。
畳の座敷など、形で伝わっているものだけでなく、精神的なものがそのまま伝えられています。
能楽などでは舞台で表現される時代の雰囲気が現代に通じていて、面白くもあり興味深いものです。
弱法師(よろぼし)という能があります。
主人公(仕手 シテ)は長者の跡取りとした生まれたが継母の讒言によって勘当され悲しみのあまり盲目となり弱法師といわれた乞食僧。
舞台は聖徳太子によって建てられた日本最古の寺である難波の四天王寺。
父親は息子を勘当したことを後悔し、罪滅ぼしに春の彼岸に四天王寺で多くの貧民に施しをします。そこに現われた弱法師は、法師としてたどり着いた精神的な高い境涯と、乞食として蔑まれる現実との落差に苦しみ、狂気の舞を見せるのがこの能の見せ場になっています。
現代の演劇にも通じるような精神的な葛藤を描いていて、多くの現代作家が論評し、三島由紀夫はこの能をもとにした現代劇を創作しました。
この能には、主人公の苦しみを救う道として仏教各宗派の教えが出てきます。
彼岸の中日には西方浄土の東門から夕日が射すと信じ、それを拝んで極楽往生を願う浄土教の教え。
その光を人々が皆で拝めるようにと律宗の忍性上人が建てた石造の鳥居。
上人は貧民救済のため力を尽し菩薩とたたえられた方です。
目の当たりに拡がる命に満ちた山河大地の中に悟りがあるという禅宗の教え。
即身成仏を説く真言宗の阿字観の修法など。
すべては民衆救済に向けて仏教各宗派が懸命に活動したことを表わすものです。
瑩山禅師の教えを汲んだ曹洞宗の布教も、この時代に盛んに行なわれました。祥雲寺も室町時代の開創です。
人々のためにという仏教の根本姿勢を忘れてはならないと自戒しています。
令和8年3月15日
宇都宮市東戸祭1-1 祥雲寺東堂 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。
