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平成31年3月 観音朝詣りのお知らせ
2019年3月17日モンゴルの草原で遊牧の羊や牛が、捨てられたビニールやペットボトルなどを食べて排泄が出来ずにたくさん死んでいます。元横綱の朝青龍が先頭に立って浄化運動が始まりましたが、ポイ捨ての習慣はなかなかなくならないそうです。
この記事を読んで、思い起こすことがありました。私が最初にインドを訪れたのは昭和57年のことです。大正大学教授の北條賢三先生の主催する旅行に参加しました。
最初の到着地カルカッタは、ものすごい大勢の人々がわめきながら商売をしたり行き交っている、人間のるつぼと表現したくなる町でした。
ツアーのバスには物売りが寄ってきます。インドに長く留学していた北條先生は、オレンジのような果物をたくさん買って「これおいしいよ」と言ってみんなに配り、一口、二口かじって、ポンと窓の外に捨てたのです。
私はそれを見て、なんと勿体ないことをするのだと思いました。北條先生も真言宗の僧籍にある方ですから、僧侶として、してはならないことをしているとも思ったのです。
私のとがめ立てするような視線を感じたのでしょう。北條先生がおっしゃいました。
「安藤君。いまのはインドでのマナーなんだよ。おいしいものは、道ばたにいる動物たちに分けてあげるんだ。」
見ると、道ばたには牛や山羊や豚が自由に放されています。それらの動物が食べるのでしょう。紙ゴミもなく意外にもきれいな道ばたです。動物との共生社会、資源循環型社会の有り様を見た思いでした。
ところが、それから10数年後、平成6年に再びインドを訪れた時には、道ばたの状況は一変していました。至る所にビニールのゴミが散らかっていたのです。
便利さ故に、ビニールをはじめプラスチック製品がいたるところに使われた結果、動物たちが消化することが出来ないものがゴミとなって大量に残されるようになったのです。ビニールを食べて死んだ動物もたくさんいたでしょう。
歴史的に積み上げてきた共生社会の美徳も、便利さを提供する現代文明に簡単に毒されてしまう。現代文明の恩恵を享受した私達こそが、毒をなくす努力をしなければなりません。
平成31年3月15日 宇都宮市東戸祭1-1 祥雲寺住職 安藤明之
十八日の朝詣りは午前6時から行います。
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祥雲寺ミャンマー参拝旅行(2月19日~25日)
2019年3月9日去る2月、総勢17名の団体としてミャンマー参拝旅行に行ってきました。
今回の旅行はその主目的として
・他国の仏教文化を見聞する
・第二次大戦時、ビルマ戦線で多数の死者を出した宇都宮の後世の人として慰霊碑に手を合わせる
(インパール作戦従軍の33師団「弓」は宇都宮を補充担任として多くの方が戦死している)
・参拝のみならず、観光を楽しむ
これら三本柱を中心に企画しました。
今回の旅程では最大都市ヤンゴン、世界三大仏教遺跡に数えられるバガン、少数民族文化の色濃い山岳地インレーを廻ってきました。
ヤンゴンの郊外には日本人戦没者慰霊碑があり、今も綺麗に整えられ守られています。
映画「ビルマの竪琴」等でも伝えられる戦争の過酷な惨禍に遭われた人たちに手を合わせてきました。
そして大戦中日本がこの地で引き起こした戦災を思えば、被害者でもあるのにこのように守り整えてくれているミャンマー人の温かい心根には感謝するより他有りませんでした。
バガンは千年前の仏教遺跡群の地です。見渡す限りの平野にパゴダ(仏塔)や寺院が林立し、その数は4000を越えるそうです。小さな遺跡は派出所ほどの、大きな遺跡は宮殿ほどもあり、参拝者の讃嘆の声を集めていますが、驚きなのはこれら膨大な数と規模の遺跡が現在も信仰の場として庶民の力により整備され続けていることです。
枯れた遺跡としてでは無く今も息づく信仰の地として有り続けること、この地の仏教信仰の根強さを改めて感じさせられます。
インレーは山岳地の湖であり、昔から湖上に家を建て水耕栽培で糧を作っている水上生活民族の土地です。その独自の文化を体験し、水上生活の妙味を一時ながら楽しませてもらえました。
最後にヤンゴンに戻り、ミャンマー最大の聖地であるシェンダゴンパゴダに参拝しました。
2600年前にお釈迦様より賜った髪を納めた巨大な仏塔は黄金と宝石で彩られ、参拝者は昼夜を問わず広い境内を埋め尽くしていました。
ミャンマーは国民の八割が仏教徒とされ、その純朴な心根と敬虔な信仰は種々の仏教文化に、なにより真摯に手を合わせる姿にはっきりと表れており、同じ仏教徒として大いに感銘を受けました。
此度もご参加いただいた方達との海外旅行を、元気に楽しく行えたことを大変嬉しく思います。
また良いお参りを皆様と出来るよう企画していきたいと思います。
祥雲寺副住職 安藤淳之